伝統の木工技術と異彩を放つ

インクルーシブなアート

「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、
国内外の異彩作家とともに新たな価値と文化を創出することで
「障がい」に対するイメージという社会的な概念の変容変革に挑戦する株式会社ヘラルボニーと、
1884年(明治17年)の開設から
140年以上の歴史と伝統を誇り、
匠の技で木の可能性を追求し続ける
清水建設株式会社東京木工場とがコラボレーションし、
異彩作家が生み出す作品と匠の技が融合したアートプロダクトが誕生しました。

株式会社ヘラルボニー

「異彩を、放て。」をミッションに掲げ異彩作家とともに、新しい文化をつくる会社。国内外の主に知的障害のある作家の描く2,000点以上のアートデータのライセンスを管理し、さまざまなビジネスへ展開している。

コラボレーションにあたり、私達がどのように企画に向き合ったか、
どのような課題をどう乗り越えていったのか、を
現場目線でお話しします。


デザインについて

株式会社ヘラルボニーがライセンス契約を結ぶ作家の約2,000点に及ぶ作品の中から絵画を選出し、
額装品のデザインを考えました。

納める絵画を引き立てつつも、作品の一部として見ていただけるにはどうしたらよいか。

弊社が培ってきた技術を活かして、どう表現していくか。

辿り着いたのが、作品の一部を木材にレーザーで焼き付けることでした。

レーザーは線や塗られた箇所の濃淡で、焼き付けを濃くするか薄くするかを判断します。

そのため、高解像度デジタルスキャンしたアートをモノクロに変換し、焼き付ける部分を抽出しました。

園田さんの作品「音楽の家」は、カラフルな色合いが特長的でしたので、余白をとり明るい雰囲気になるよう焼き付ける部分を選出。

色鉛筆で描かれた独特なカスレ具合も表現しました。


木材について

今回、あえて木目が均一でない木材を採用しました。

通常、額縁に使われる木材は、絵画を飾るうえで存在感を主張しないよう、木目が目立たない部分を使用します。

そして、私たちは強度の面から家具に使うことができない節や個性のある木目部分を使うことにしました。


それは、木材の有効活用によるSDGsへの貢献は私たちにとって重要なテーマだからです。

そして何よりも、個性ある木材を採用することで、
木の多様性と作家の多様性が伝わる作品になってほしいという願いを込めています。

加工について

木目が均一でない木材を扱う難しさもあります。

板から額縁の部材を寸法に削り出す工程や、面取り加工をする工程は匠の腕が試される重要な場面です。

木目が均一ではないこということは、刃物の当て方や動かし方しだいで、かんたんに部材が欠けたり、逆目になってしまうこともあるからです。

扱いがとても難しい部材ですが、それでも、東京木工場が培ってきた技術を活かし、細部までなめらかに美しく仕上げることができました。


見るだけでなく、触れることでも「木」を感じていただける作品。
このアートワークで「多様性のコラボレーション」を体感していただけたら嬉しいです。
 

左上:「ヴィニクンカ山」
右上:「楽しいひと時」   
中下:「音楽の家」